お蕎麦とすあま
落語通にはお馴染みの月刊誌『東○か●ら版4月号』に某若手落語家さんのインタビュー記事が載っていたのだが、これがとてもキュンときた。
まず、プロフィール欄。19xx年x月x日生まれ。○○大卒。xx年に▲▲に入門……みたいな略歴の後にこんな一文で締められていた。
『好物はお蕎麦とすあま』
もう完全にやられた。
たたでさえ可愛らしいルックスで、聴いてて心地よい古典落語を語る、将来は間違いなく大看板になるであろう青年が蕎麦に「お」をつけてる!
これが「お吸い物」「お粥」ならわかる。
「吸い物」「粥」だけだと何か物足りないというか、相手に伝わりにくい。
だが、お蕎麦って別に「蕎麦」だけでも伝わる。
その上、落語には蕎麦が出てくる噺がいくつもある。
『時そば』『そば清』『そばの殿様』など。
中でも有名なのは『時そば』だろう。
その冒頭で男が夜鳴き蕎麦屋を呼び止める時
「おう、蕎麦屋さん」
と言う。
「蕎麦屋さん」と「さん」付けするが「お」は付けない。いや、そう言われると『そば清』は「お蕎麦」と言っていたが。
別に私は日本語についての言語学的な難しい話をしたいわけではない。したいと思ったところでできない(語彙力絶賛募集中)。
要は蕎麦に「お」を付けてるってめっちゃ可愛いくね?と言いたいのである。
更にインタビュー記事を読むと
「おまんじゅうを……」
「お惣菜を……」
「お笑いは……」
彼はどうやら「お」をつける癖(?)があるらしい。
(いや、お笑いは普通だろってツッコミはナシで)
なんかもう、めっちゃ可愛い。
考えてみれば彼の芸名にも「お」が付いてる。
これはもう何て言うか、一言で言うと最高に可愛い。
その上、すあまときた。
すあま……
むにゅっとしてほんのり甘いあの和菓子だ。
色は主にピンクか白のアレだ。
絶妙に可愛いものを持ってきやがった。
ケーキやチョコレートだとあざと過ぎる。
和菓子、それもすあまっていうのが絶妙に『通』な感じを出している。
「女性好感度狙うためわざと書いているんじゃないか?」と思うと同時にキュンとする。
好物に『お蕎麦とすあま』と言う男性。
なんかもう最高である。
これだけで彼持っているふわっとした優しい雰囲気が出ている。
肝心のインタビュー記事も彼の落語を聴いているような心地いい文体で非常に読みやすかった。
この記事を読んで、彼の落語会にまた久しぶりに行きたくなった。
聞き心地がよく、聴いていると思わず微笑んでしまうような落語をする彼は、お客さんに「なんかいいな」と思ってもらえる噺家を目指しているという。
私の中では既に「なんかいいな」を超えている。