二十代女と六十代男で遊園地に行った話
実は三月の終わり頃、お世話になっているBさんに誘われ二人で荒川の某遊園地へ行ってきた。
「いい年した大人が遊園地か〜……」と思ったが
Bさん曰く「この時期だと桜が綺麗だから」
とのことでM駅で待ち合わせをして都電に乗り遊園地へと向かうことになった。
私は都電に乗るのが初めてだった。
Bさんは黙って外の景色を見ていたので、私は読みかけの本を読もうとすると
「景色も料金のうちなんだから楽しまないと。特に今の時期はね」
と言われた。
正直(景色なんて見てもなぁ……)と思ったが、都電は街中を走っている上、ちょうど桜の時期。絵になる風景というか場面が多いな、と思った。
『景色も料金のうち』
なるほど。
Bさんが紡ぎ出す物語の世界観はこういう所からも生まれているのかもしれない。
時期的に春休みだからだろう、園内にいたのは殆ど小学生か幼稚園児の家族連れだった。そもそも遊園地自体が小さく明らかに小学生くらいを対象とした乗り物が殆どである。
そこに汽車に乗るため並ぶ二十代半ばの女と六十代男性が二人で遊園地……多分、異様な光景であった。
だが、童心にかえる……というのか中々に楽しかった。
オチは特にない。