落語好き腐女子の酒日記(仮)

落語と酒が好きな腐女子の日記です。

店員が『落語家の前座っぽい雰囲気』の店の話

私は週に三回は一人飲みするくらいには酒が好きである。いや、酒そのものも好きではあるがそれ以上に『飲み屋に酒を飲みに行く』のが好きなのかもしれない。
たまに友人から「どんな店で飲むの?」と聞かれるので今日は私が気に入っているお店を紹介しようと思う。尚、色々あるので店の名前は伏せさせてもらう。


最近、飲み仲間のY氏から教えてもらったS並区のS駅から少し歩いたところにある焼き鳥屋『T』が非常に気に入っている。

行く決め手となったのはY氏のこのセリフだった。

「バイトの男の子の店員がさ、雰囲気が皆、落語家の前座っぽいんだよね」

それを聞いてから数日後、店へと向かった。
食べログでも評価が高い人気店なので開店間もない時間を狙って店へとついたのだが、それでも半分は埋まっていた。
時間や曜日にも寄るのだろうが、この日はいわゆる「おじさん」と言われる年齢の人達が多かった。
女一人で来ているのは私だけだ。
まあ、そんなんで怖気付くほどヤワな酒飲みではない。

店内に入り、カウンターの隅の席に腰掛けて辺りを見回す。
店は歴史を感じさせるが、不潔感はない。
天井から徳利が大量にぶら下がっていたりしてごちゃごちゃしているが、散らかっているという気はせず、それもまた店の雰囲気に絶妙に合っている。

どうやら年配のご夫婦が経営しているお店のようで、バイトらしき若い男の子が何人かいた。

その男の子達を見て思った。
「確かに前座感がめっちゃある」

まず服装。作務衣というか、甚兵衛的なの。うん、非常に良い。
そしてルックス。超イケメンという訳ではないが、愛嬌のある顔立ちをしている。私が見た限り髪も黒髪短髪で居酒屋によくいる派手に髪を染めているタイプの店員はいない。真面目そうだが、変にカタブツな感じはしない。うん、こういう前座いるわ。
店員としての動きも良い。
元気で愛想が良いが、うるさすぎるわけではない。いちいち「はい、喜んでー!」とか叫んだりもしない。
注文するにしても、こちらが店員さんを呼ぼうかなと思うと同時に店員さんが目を合わせて微笑んでくれた時は、もう惚れそうになった。
カウンターに灰皿が置いてあったが、使わないな、と思って端に寄せるとすぐさま回収してくれる。
ちょっと戸惑っている新人さんらしき店員さんは別の店員さんがすかさずフォローをしているのを見た時は私へのサービスかと思った。めっちゃ萌えた。

うん、なんかめっちゃ落語家の前座っぽい。
何だろう。ルックスとか振る舞いとかに前座臭がめっちゃあるのだ。このバイトの男の子達が楽屋でお茶を運んだり、着物を畳んでいても全然違和感がない。
なんかもう、とにかく前座感がすごい。
帰り際、手に小遣いを握らせたいくらいだ。


そして焼き鳥。美味い。安い。最高。
創作串もあり、そちらも美味しい。
『一口食べた途端、口の中で焼き鳥達がサンバを踊り出して〜』とかそういう表現はできないし、したくない。
本当に美味しいものは『美味い』としか表現できない。
ちなみにその店には下ネタなギャグメニューがある。
それもまた遊び心があって良い。


前座感漂う男の子を眺めながら日本酒を飲みつつ美味い焼き鳥を食べる……。最高の贅沢である。


こういう店に出会えるから酒はやめられないのだ。