落語家さんからのモーニングコール大作戦

最近、朝起きれないことが増えてきた。
原因は分かっている。
酒と疲労だ。
酒は自業自得だ。自分で量を調節すれば何とでもなる。（調節できるとは言ってない）
問題は疲労だ。最近疲れがとれない。別にブラック企業で長時間労働を強いられているとか、仕事が終わらなくて……とかではない。単純に疲れやすくなったのだ。
最近は休みの日、1日だらだらしていても疲れがとれなくなってきた。
今までこんなことなかったのに。何かの病気でないかと本気で不安になった。
そんな時、30代半ばの職場の先輩が肩を優しく叩いて教えてくれた。

「大丈夫。それ、ただの老化だから。25を超えるとね、1日寝ても疲れが取れないことが増えてくるよ」

老化。自分とは生涯無縁だと思っていたその言葉が胸にグサリときた。
ちなみにその先輩が言うには30を過ぎると風邪の治りや傷の治りが遅くなるらしい。
時の流れは残酷だ。アンチエイジング、という言葉を自分の意思で始めて検索した。
美容品は高いということを知った。
まずは日頃の体力づくりから始めよう。（始めるとは言ってない）

アンチエイジングと体力づくりは別の機会に頑張るとして、とにかくまずは朝起きれるようにしないと。そうしないと、いつか寝坊で大失敗するのではないかと不安になった私はスマートフォンのアラームを使うようにした。

しかし私は昔から眠りが深いせいか目覚ましがあまり効かない。
さすが幼少期、夜中に震度4の地震があった時もずっと眠っていたという女だ。ちょっとのことでは動じない。

だから、眠る前「明日は8時半に起きる」と自分の体に言い聞かせて眠る。
そうするとそれくらいの時間には体がなんとなく覚醒するのかギリ目覚ましに反応できるほどの浅い眠りになるようだ。

しかし、眠る前に「○時に起きる」と言い聞かせてないで寝てしまうと、目覚めたら12時過ぎていたなんてことが何度もある。
もし大事な日に遅刻したらシャレにならない。

そんな時、ツイッターで次のような方法を見つけた。
アラームのメッセージ欄に
『○○（キャラ名）からの着信です』
と入れる。こうすることによって好きな人物から電話がかかってきたような気分になり、朝爽やかに目覚められるという作戦だ。

なるほど。これは名案である。
昨晩、早速設定してみた。名付けて『落語家さんからのモーニングコール大作戦』。

ちなみに10:30（このとき寝ていると遅刻確定の時間）のメッセージは『立川談志師匠からの着信です』にした。
何故亡くなった人にしたのかって？
この時間まで寝ているということは私にとって社会的死を意味するためだ。

これで明日はバッチリだと思って眠りに落ちる瞬間気が付いた。

いくらキュンとするメッセージにしたからと言ってまずアラームに体が反応しないと意味がないということを。
しかし、時すでに遅く、私は眠りの国へと誘われた。

朝。アラームが鳴っている。
しかし、眠すぎる私の体はうまく動かないのでスマホの画面を見る気力がなく気がついたらアラーム停止ボタンを押していた。
せっかくの策が無意味であったようだ。今日も遅刻ギリギリで出勤した。
やはり私にアラームは効かない。
どうすれば良いのだろう。

いっそ可愛いメイドさんを雇って毎朝起こしてもらうべきか。
そのためにはメイドを雇える収入がないといけない。そのためには金を稼がないといけない。

落語モノのBL小説で一発当てるしかねえかな。